2013年6月18日火曜日

北京旅行記2





前回の続き

スパゲッティ喰ったあとはKHも職場に戻ってしまいひとりですることもない。劇場にWi-Fi環境はあったものの、SNSやブログは規制されていて繋がらないし、なんだか疲れたのでひたすら寝ていたのだが、周りがにぎやかになったのに起こされ開演時間が近いことを知る。

そしてライブが始まった。
演奏の様子はこちらを参照されたし(クリックするとFlickrに飛びます)。


Beijing_Sangatsu_2013



ここでひとつ告白しておかねばならないのだが、実は、俺はサンガツの生演奏の音がちょっと苦手なのだ。最初に断っておく。

(ちなみにCDは愛聴してて、特に『5つのコンポジション』はしょっちゅう聴いている)



以前、まだ知り合ったばかりの頃だがサンガツの小泉さんに「ハムバッキングのギターは使わないんですか?」と訊いたことがある。小泉さんのギターはフェンダー製でシングルコイルだ。

何のことやら?な人のために説明する。
エレキギターは弦の振動をボディに埋め込まれたピックアップという装置で拾い、これを信号に変えて出力しているのだが「シングルコイル」とか「ハムバッキング」というのはこのピックアップの種類のこと。一般にシングルはキレが良いというか、音の粒がクリアで、ハムはモコモコっとした感じ。チョコで言うと、きのこの山とたけのこの里くらい違う。果てしなく違う。



シングルの音は、ほんとうに単なる音というか、そのままでは意味を成さず、きちんと構成(コンポジション)することなしに音楽には至れない。つまり音楽以前の音、物音に近いということだ。一方でハムの音は、あらかじめ音楽に使われることを想定した上で作られている様に思う。もちろんこんなのは自分勝手な捉え方なのだが、ギターが好きな人にはなんとなく分かって貰えるのではないかとも思う。

そう考えると、サンガツはいうなれば、音楽が生まれる瞬間を都度目指している、ということもできる。となると、これは俺が舞台でやってることにも近いのではないか。俺自身、演劇というものが既にあると思っている人、「演劇道」みたいなものがありそれを歩みたいと思っている人、仕事として演劇でメシを食っている人…との意識の違いにこれまで悩んできたが、こと音楽に関しては俺もそれが「ある」という前提に立ってしまっている。ヘヴィメタルという、「演劇くさい音楽ジャンル」が大好きなことからもそれは分かる。

(「演劇」という言葉の意味するところに対する俺の関心の持ち方の面倒くささには自分でも辟易している……)

俺は音楽には甘い夢しか求めていない。聴いてる時だけ無敵感を味わえればそれでいい。だからサンガツの演奏の、あの、シングルコイルのキンキンした音、ハイハットやシンバルのシャリシャリした、あと一歩で黒板を引っ掻く音になりそうなあの即物性というのが結構つらい。根本的なところで俺には音楽、ついでに言えば色彩のセンスが無い、それはよく思う。

中国とあまり関係がない話題になってしまった。
続き(ライブの翌日故宮博物院に行ったことことなど)も近いうちに書きます。